「地域医療」とは何か
地域医療とは、医療・保健・福祉の各分野が連携して地域に暮らす住民の健康を総合的に支える仕組みを指します。特定の病院や診療所だけが担うものではなく、病院やクリニック、訪問看護ステーションなどの医療施設、介護施設、自治体などが協力して、地域全体で住民の健康を守ります。
ここでいう「地域」とは、山間部や離島といった特別な場所ではありません。住民が日常的に生活しているエリアのことです。対象となるのは、高齢者や障害のある人、妊産婦、子どものようにサポートを必要する人だけでなく、その地域に暮らすすべての住民です。そのため、地域医療の形は地域ごとの特性や課題に応じた仕組みづくりが求められます。
地域医療を守るために
超高齢社会を支えるために、国や自治体は地域医療の再構築に向けてさまざまな施策を進めています。その中心となるのが「地域医療構想」と「地域包括ケアシステム」の2つです。
【地域医療構想】は将来の人口推計をもとに医療ニーズを予測して、地域ごとに必要な医療機能を見直す取り組みです。2014年には「医療介護総合確保推進法」によって制度化され、少子高齢化に対応できる医療提供体制の構築が進められました。
この構想は医療機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類し、病床数の調整を行いながら役割分担と連携を強化するものであり、全国の構想区域で整備が進められています。
【地域包括ケアシステム】は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるように、医療・介護・住まい・生活支援・予防を一体的に提供する仕組みです。2018年には介護保険法などが改正され、このシステムの整備が本格的に推進されました。
地域包括ケアシステムを構築することで医師や看護師、介護職、行政など多職種が連携し、高齢者とその家族を支えることができるようになります。ただし、地域の実情に合わせた仕組みづくりが不可欠なため、市町村や都道府県は地域特性に応じて体制を構築する必要があります。
なぜ地域医療が必要なのか
日本国憲法第25条ではすべての人が「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利が保障されています。国にはその健康を守る責任がありますが、加速する高齢化により、今後は医療や介護の需要が増え続け、少子化による働き手の減少や医療保険財政の厳しさなど、地域医療を維持するうえでの課題はさらに大きくなることでしょう。
こうした状況の中でも、住民の健康で文化的な生活を支えるためには地域の実情に合わせて他職種が連携してサポートすることが必要ですが、解決すべき課題も多く残されているのが現状です。